【木造なのに耐火】 木造家屋の耐火基準について
共済の火災保険の会社から、封書が来た。
「なんだろう?」と思って中を見ると、『 木造家屋の耐火基準の見直しをするので、自宅がどんな木造家屋か書いて返送してくれ 』と言うものだった。
最初は、何を言っているのかわからず 『 ? 』 だった。
そこで、何度か読みなおすうちにやっと事態を理解できた。
どうやら、今は 『 木造家屋 = ガンガン燃えるもの 』 ではなく、『 木造家屋でも燃えにくいものがある 』 ので、『 燃えにくいものは保険料をやすくします』 よ、と言うことのようだった。
昔
木造家屋
= よく燃える・火災が起きれば大惨事
火災保険
= 木造家屋は全部火災保険料が高い
今
木造家屋
= 燃えやすい家と燃にくい家がある
(耐火性能の高い家は燃えにくい)
火災保険
= 耐火性能の高い家は火災保険料が安い
なるほど、そう言うことかと言うことで早速返送することにした。
しかし、うちは耐火建築でも何でもない、ただの築30年のボロ屋なので、保険料が安くなることはなかった。
柱
木造家屋
(2x4 ツー・バイ・フォーと一部鉄骨含む)
→ 耐火性能を要確認
鉄骨
→ 確認不要
鉄筋コンクリート
→ 確認不要
耐火性能について調べる
これが意外とめんどくさい。
うちは築30年のボロ屋なので関係なかったが、関係のある場合は、どう言う耐火建築物かを調べないといけない。
共済の火災保険では以下の3種類の耐火基準が書かれていた。
- 耐火建築物
- 準耐火建築物
- 省令準耐火建築物
何の耐火建築物なのかわからなかったり、その証明が困難な場合は、保険料が高くなってしまうようなので、証明できるよう書類の管理はしっかりとしておかないといけないようだ。
耐火建築物の種類を確認するには、建築確認申請書などで、自宅の耐火基準を確認すると良いらしい。
建築確認申請書とは?
建物が建築基準法や条例に適合したものであるのでチェックして欲しいと、役所に申請するための書類。
正本・副本の『 2枚 』作成する。
副本の方は、役所がチェックしてOKが出たら建築会社に返却される。
建物の引き渡しの時に、副本が建物の所有者に渡される。
保険の確認などの時に必要なので、建物の所有者は無くさないとしないといけないし、建築会社からしっかりと受け取っておかないといけない。
建築確認申請書を見るにはどうすればよいか?
普通は、建物を引き渡す時に副本が建築会社から所有者に返却されるので、それを見る。
何らかの事情で紛失してしまったり、建築会社から副本を受け取らないまま放置してしまった場合は、役所で建築確認台帳記載事項証明書を発行してもらえることがある。
ただし、家を建てたのが古い場合や自治体によっては、これができない可能性もあるので、その場合は諦めなければならない。
建築確認台帳に記載されている内容を転記した証明書(=台帳記載事項証明書)の発行、建築計画概要書の写し(コピー)の交付を行っています。
なお、確認済証または検査済証の再発行はできません。
紛失された場合は、台帳記載事項証明書の利用をご検討ください。
防火地域とは?
先の共済の火災保険の説明書には、防火地域について書かれてあった。
でも、その防火地域と言うのが今ひとつわからなかったので、調べてみることにした。
防火地域とは
都市計画法に基づき、防火のために特に指定される地域。
この地域内の建物は、耐火建築または簡易耐火建築としなければならないなど種々の制約を受けます。
耐火建築の制約は受けるものの、必ずしも、もうすでに建っている家が耐火建築であるわけではないので、防火地域だから耐火建築並みの扱いを受けると言うわけではないようだ。
確かに、昨日防火地域に指定されたばかりの地域だと、耐火建築で建設されていない家のほぼ100%の家が耐火建築ではないわけで、防火地域だから耐火建築扱いするのは問題がある。
耐火コストと保険料と火災による被害を秤にかける
耐火建築は、耐火でないものと比べると建設コストが高い。
でも、火災保険の保険料は安くなりやすい。
確かに、必ず火災保険料が安くなるわけではない。
うちの加入していた火災保険も、ちょっと前までは普通の木造建築と耐火木造建築がとひとくくりにされてしまっていた。
でも、徐々に耐火木造とただの木造建築を区別して、耐火木造の保険料を安くする動きは広がってきているようだ。
この動きが広がってくると、今後さらに、耐火建築を導入する人も増えていくのではないかと思われる。
ちなみに、耐火建築で火災保険料が安くなると、長く家を使えば使うほど、耐火建築にするコストを軽減することができる。
全てをペイできるわけではないが、初期投資の負担をかなり軽減できる。
火災保険料が安くなることによるメリット
300万上乗せして、耐火建築の家を建てる
→ 年に3万円 火災保険料が安くなる
→ 10年で30万円火災保険料が安くなる
→ 30年で90万円火災保険料が安くなる
→ 耐火建築のコストを210万円に抑えることができる
火災による被害が出てしまった場合、金銭に代えられない被害が出てしまうことがある。
もちろん、ボヤ程度で住めば御の字だが、火災による死者が出た場合は大変だ。
どれほど金銭を積んでも取り返しがつかない。
また、火災が起こると捨てられない思い出の品、かなり高額な美術品や貴金属類をすべて失ってしまう可能性も高い。
(高額な貴金属は耐火金庫に入れておくと、火災の難を免れる可能性は高くなる)
そのため、金銭ではかえられない被害や一財産を失うほどの被害を最小限に抑えるためには、初期投資で耐火性能に金銭を費やすことも一つの方法だと思われる。
耐火建築は火災が起きなかった時に損する?
耐火建築の家を建てた後、自宅や隣家で火災が起きれば火災の被害を抑えやすい。
なので、耐火建築にした意味は十分にあったことになる。
でも、火災が起きないまま数十年経ち、耐火建築がその性能を使わないまま建て替えになってしまった場合、耐火建築にかけたコストは全部無駄になってしまう。
確かにその通りではあるのだが、リスク軽減のための保険とは、本来そのようなものだったりする。
保険とは、何かあった時に露頭に迷わずに済ますためのものだ。
火災保険をかけ続け、満期でお金を受け取れる保険もあるが、高利回りの運用が可能だった大昔の日本ならいざ知らず、今の日本で満期でお金を受け取れる火災保険を探すのは難しいし、あったとしても掛け金がかなりの高額になる。
耐火建築も、言ってみれば火事が起きた時の保険のようなものだったりする。
防音や断熱のように常時恩恵を受け続けることができる建築性能ではないが、何かあった時に路頭に迷わないようにするための保険と言うことでは、意味のある建築だ。
なので、防音や断熱よりは優先度は低くなってしまうかもしれないが、資金的に余裕があるなら、耐火性能にお金を振り向けてみるのも良いかもしれない。
広告