【判決が出た】 通常使用損耗は責任なし?

最高裁判決

最高裁とは、立法府(裁判所)の頂点に立つ偉い裁判所です。
ここでは、他の裁判の判例として使用されるような模範的な判決が下されます。
この判例を基にして、他の裁判所も同じような判決を下すわけですが・・・。

近年、最高裁で、「特約にて、通常使用損耗※1を回復させなさいという約束をしていても、お部屋を借りている借主さんはその費用を負担する責任はない」という判決が出ました。

この判決が画期的だったのは、特約で「通常使用損耗を回復させなさい」という取り決めをしていても、借主は支払わなくてもよくなるという流れを作ったということです。
※1 普通に生活していて生じる傷や汚れなど

例えば、今までは「普通に生活して出来た壁紙の汚れでも、サラピンの状態に戻すために全部壁紙を張り替えるので、壁紙の張替え費用を出しなさい、特約で決められてるんですから」と、貸主さんに言われても、借主さんは、「普通に生活してできた汚れなんで、それについては支払いません」と言えるようになったということです。


通常使用損耗は賃料に含まれるらしいけど・・・

通常使用しているうちに、畳は黄色くなるものですし、壁紙もくすんでくるものです。
そんなことまで何とかしなさいというのが、通常使用損耗を敷金から差し引いて修復させたり、敷金以上に支払いの請求をすることです。

ところで、昨今では敷金トラブルが多発していますので、国土交通省が敷金返還についてのガイドラインを示しました。(国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の概要ページ参照)
ですが、これには、異論を唱える大家さんもおられるようです。

なぜならば、地域によっては「家賃に改装費などのコストを上乗せせずに、敷金などから支払ってもらう」のが慣習となっている地域があるから」です。
例えば、「家賃は3万円だけど、改装費とかは別口でいただきます」みたいな家賃体系の場合は、家賃はかなり低めですが、その分、敷金などはガッツリ引かれます。

ガイドラインが出来たり、様々な判例で通常使用損耗は賃料に含まれない判決が出始めたのは、近年のことですので、今後は徐々に国土交通省のガイドラインに沿った家賃&敷金についての意識が広まっていくものかとは思いますが、日本全国津々浦々にそういった意識が行き渡り、トラブルが減るまでには、まだまだ時間がかかるのかもしれません。

ただ、借主側は少しでも住宅にまつわるコストを減らすように努力するでしょうから、借主側の姿勢によっては、ガイドラインが浸透する速さは変わってくるのかもしれません。

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