【負の遺産】 よくよく中身を見てみると

前ページまでは、介護をしてきてあげたのに遺産相続できなくて、いかばかりに不合理かという類のお話であったわけですが、その遺産内容(弁護士に提出した遺産についての書類のコピー)を見ていた時に、少々気になる点が出てきました。

それは、伯母さんの所有している家は、「定期借地権付きの土地」の上に建っているということでした。

つまり、定期借地権付きの土地に家を建てて、伯母さんはそこに住んでいたわけです。
これはつまり、その土地を地主さんにお返しするときは、「その土地を更地にしなければならない」ことを意味していましたので、そのような類の土地を相続しても、損失が出るだけだったわけです。

しかも、伯母さんの住んでいた家は、何と驚きの「築50年」
これでは、いつ地主さんに更地にしてくれと言われても仕方がありませんし、そもそも築50年のボロ木造建築ですので、今更そこに住むこともできなかったりします。
(それ以前に、超・ミニ戸建で建て替えも困難だったりするわけですが)

時価500万円の株の行方

そんなこんなで、解体費用に100万円以上(200〜300万円かもしれないですが・・・)かかりそうな、伯母さんの所有していた定期借地権付きの住宅ですが、一般的には、その解体費用は相続した人が捻出しないといけません。

そこで、そんな金がどこにあるのかというお話になります。
そんなわけで、伯母さんの資産内容をもう少し見てみると、伯母さんは時価500万円分の株券も持っていた様子。そういったことから、多分ですが、相続をした親族の人は、その株を売って500万円を手にした後、その500万円で定期借地権付きの家の解体費用を捻出し、捻出し終わった後で、そのお金を分配するのではないかと思われました。
ですので・・・


相続したお金 - 定期借地権付き住宅の解体費用 = 相続額
相続額 ÷ 3人(法定相続人) = 一人当たりの相続額


・・・となってしまうわけです。
(こう考えると、ほんのチョビットですよね・・・)

しかも、伯父さんが求めていた「見返り」ぶんの遺産贈与の場合はもっと悲惨で・・・


相続額 ÷ 3人(法定相続人) = 一人当たりの相続額
一人当たりの相続額 × 贈与してもよいと思っている人数 = 伯父さんへの贈与金額
伯父さんへの贈与金額 - 贈与税 = 実際に伯父さん達が受け取れるお金


・・・ですので、実際にもらえたところで、ほんのはした金であったわけです。
ですので、伯父さんたちは弁護士まで立てて相手に相続分のお金を要求したわけですが、どちらにしても、実際には弁護士費用を賄えるかどうかくらいしかお金が入ってこなかったことになります。

何とまあ不幸な話ですし、今ひとつパッとしないお話ではありますが、もし、遺産目当てで介護をするのであれば、弁護士に相談するにしても介護を引き受けるにしても、実際の資産内容や相続人の有無などはしっかりと把握してから行う方が無難であったかと思います。

また、もし介護を行うのであれば、最悪、遺産が入らない可能性があることを覚悟の上で、それでも大切な人だから介護をしていこうという、その覚悟が必要なのかもしれません。


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